ご挨拶
3年ぶりの奈良での個展
『環・めぐり、めぐる』、無事に終わりました。
ご来場いただきました沢山の方々、お力添えくださった全ての方々に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
初日は、あいにくの雨天でしたが、2日目以降は、最終日まで秋晴れの好天に恵まれ、沢山の方々にギャラリー勇斎さんまでお越しいただきました。
折しも、近くの奈良国立博物館で、正倉院展が開催されていることもあり、遠方からのお客様も多く来られました。また、この時期は、観光客の方々もかなり増えていて、ギャラリーの通りは、国内外の観光客が途切れることがありませんでした。そのそぞろ歩きの途中にお寄りくださった方々も多くいらっしゃいました。
テーマとなった「環」の文字について
右側の部分は、死者の衣裳の襟もとに死者の霊に力をそえる玉(ぎょく○)をおき、上に生命の象徴としての目をかく形で、死者が生き還ることを願う儀礼をいう。この儀礼のときに使う玉を「環」といい、「たま、たまき」の意味となり、円い形であるから、「めぐる」の意味となる・・・
『白川静 常用字解』より
自然や時がめぐるのは、もちろんのこと、人の世や命もめぐり、めぐる、そして、それを繰り返している「輪廻」ということを歳を重ねるとともに強く思うようになりました。
また、この世では、もう二度と会うことのできない、大切な人たちを想うとき、古代の人々が「環」の文字の右側のつくりに込めた願いを深く理解できる気がします。
酒匂 溪香
「〇」
ぐ る り
「四季」
春 夏 秋 冬
「月 と 兎」
トオクカラ シズカニ
ナガメテイテ
「月 と 兎」
兎はことにやさしとて
良寛の長歌より
「風」
人間が昔のように 私たちの 声を聴いてくれたら
私たち自然は もっと優しい 姿でいられるだろう
奈良は秋の盛りに近づいていました
「色づき始めた若草山」
自然や時の流れ人の世そして命も
留まることなく輪廻している
自然は 慈悲深く 人々を包むが
時として 鋭い牙を 剥いて襲いかかる
くるくるくるぐるぐるぐる
ひとめぐりしてもとのいち
2022年秋の個展「環・めぐり、めぐる」
久々の、奈良・ギャラリー勇斎さんでの個展です
地元の鹿たちも、待ちかねたように? 顔を見せてくれました
勇斎さんならではのギャラリーの隣の入り口には杉林・・・ぜひお越しください
日中の陽射しは、まだまだ厳しいですが、朝夕の風に、少し秋の気配を感じます
皆さまには、いかがお過ごしでしょうか
コロナ禍初めの年、得体の知れないウィルスに対して感じた恐怖感を思うと、今そのウィルスと向き合いながら生活することに、少しは慣れてきましたが、それでも以前のような開放的な気持ちには、なかなか戻れません
気の赴くままに動けて、心を遊ばせることができたコロナ禍以前が懐かしく、どれ程大切な時間だったかをあらためて思い知らされています
けれど、嘆いてばかりはいられません!
この秋は、3年ぶりに奈良市のギャラリー勇斎さんで個展を開きます
タイトルは「環・めぐり、めぐる」
気持ちが閉ざして悶々としている日々にも、自然たちは変わらず美しい姿を見せ癒してくれる・・・風も、雲も、木も、花も・・・忘れず自分の出番を心得ていて、季節は毎年繰り返し訪れる
ひとつの季節が行きかける頃には、「行き合いの空」を楽しみながら、次の季節へのめぐりを心待ちにする
そして・・・
幾度もめぐってくる四季折々の風景に癒されつつ、気づくことがある
季節がめぐり、時も毎日めぐる
自然の壮大なめぐりの中で、人が生まれて時がめぐり、次の世代へバトンを渡し、やがて土に還っていく、その人の体内でもまた、休むことなく血液がめぐっている
大きなめぐりと、小さなめぐりは、自然の法則なのか、人も自然の一部だと強く思える
そんな、めぐり、めぐるものをテーマにした展覧会です
開催期間 2022年11月1日(火)~11月6日(日)
開場時間 午前11時~午後6時(最終日 午後4時)
会 場 ギャラリー勇斎
奈良市西寺林町22
電話 0742-31-1674